生前贈与②/住宅取得等資金の非課税
贈与税の基礎控除額110万円を超える贈与であっても、贈与税の納税が生じない非課税の制度がいくつかありますが、そのうちの1つ「直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」制度をご紹介します。
② 住宅取得等資金の贈与自分が住む家屋の新築、取得又は増改築等(以下新築等)の対価に充てるための金銭(住宅取得等資金)を両親や祖父母などの直系尊属からの贈与により取得し、翌年3月15日までに新築等をして、同日までに居住または又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれる時は、その住宅取得等資金について一定額(※非課税限度額)まで贈与税が非課税となります。
住宅取得資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の適用については、次のような要件があります。
◆贈与を受ける人(受贈者)が、贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上で、その年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
◆受贈者は、特定受贈者(日本国内の住所の有無、日本国籍の有無など一定条件を有する者)であること。
◆自分の配偶者、親族など特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの親族との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
◆取得した住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
◆贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、申告をしなおす(修正申告)。
◆平成26年分以前の年分において、旧非課税制度の適用を受けたことがないこと。
◆住宅用家屋の用件
①新築又は取得の場合
・床面積が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その床面積の1/2以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。
・取得した家屋が次のいずれかに該当すること
A:建築後使用されたことのないもの
B:建築後使用されたことのあるもので、その取得の日以前20年(耐火建築物の場合は25年)以内に建築されたもの
C:建築後使用されたことのあるもので、耐震基準に適合するものとして、一定の書類により証明されたもの
D:要耐震改修住宅で、取得の日までに耐震改修工事の申請等をして、かつ贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その家屋が耐震基準に適合することとなったことが証明されたもの。
②増改築等の場合
・増改築等後の家屋の登記簿上の床面積が、50㎡以上240㎡以下で、かつ、その床面積の1/2以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
・増改築等の工事が、自己が所有し、かつ、居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて、一定の書類で証明がされたものであること
・増改築等の工事に要した費用が、100万円以上であること。
※非課税限度額:
新築等をする住宅用の家屋の種類ごとに、受贈者が最初にこの非課税制度の特例を受けようとする住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日に応じた金額となります。
(1) 下記(2)以外の場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
~平成27年12月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月1日~令和2年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
(2) 住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |