生前贈与③/配偶者控除

贈与税の基礎控除額110万円を超える贈与を受けた場合には、原則として贈与を受けた人は、贈与税の納税義務が生じます(①暦年贈与)。

ただし、配偶者の老後の生活保障、夫婦相互による財産形成などを考慮し、婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用の不動産又は居住用不動産を取得するための金銭の贈与については、基礎控除額110万円のほか、最大2,000万円までの控除が受けられる制度があります。

③ 配 偶 者 控 除

例えば、父から子(30歳)へ2,000万円の土地を贈与すると、(2,000万円-110万円)×45%-265万円=5,855,000円の贈与税がかかります。
これに比べて、夫から妻へ居住用の敷地2,000万円を贈与した場合には、2,000万円-2,000万円(配偶者控除)-110万円<0円となり、贈与税は0円となります。

この贈与税の配偶者控除の適用にあたっては、以下のような要件があります。

夫婦の婚姻期間が20年以上であること。
正確には、婚姻の届出の日~居住用不動産の贈与の日までの期間が20年以上(1年未満の端数は切り捨て)となります。こちらは、戸籍等にて、確認・証明することになります。

また、この配偶者控除は、同じ配偶者からの贈与について、一生に一度しか適用できません。
配偶者間の贈与ですので、夫から妻への贈与、妻から夫への贈与が対象となります。

贈与された財産が、国内にある居住用不動産又は居住用不動産を取得する為の金銭であること。
居住用不動産とは、家屋・家屋の敷地・敷地となる借地権となります。

居住用の家屋とその敷地を一括で贈与するだけでなく、家屋のみの贈与、その敷地のみの贈与でも適用があります。

ただし、敷地のみの贈与の場合には、その敷地の上に建つ居住用家屋が、夫若しくは妻が所有していること又は、贈与を受けた配偶者と同居する親族が所有している必要があります。

贈与を受けた年の翌年3月15日までに、その贈与により取得した居住用不動産、又は贈与を受けた金銭で取得した居住用不動産に、その贈与を受けた者が住み、その後も引き続き住む見込みであること。

戸籍謄本、登記事項証明書等の必要書類を添付して、贈与税の申告をすること